安全行動学分野とは

日常生活や産業・交通場面における人間行動の安全性、快適性、操作性向上に係わる諸問題を、実験・調査を通して心理学的に解明し、得られた結果を広く社会に還元する研究を行っています。

特に安全に関する研究では、人間はミスをおかす存在であるとの前提のもとに、その発生要因を個人の心理レベルにとどまらず、個人間レベル、集団組織レベル、生活環境レベル、社会文化レベルなど幅広い視点から捉え、多角的に対策を講じようとするところに本研究分野の特徴があります。

近年の具体的研究テーマとしては、ヒューマンエラー・違反の発生メカニズム、ドライバーのリスク知覚とリスクテイキング、医療現場のリスクマネジメント、子どもの事故防止、機器類のユーザビリティ向上、空間認知エラーのメカニズムなどがあります。

本研究分野では現代社会の様々な問題を扱うため、研究は常に現場との連携を求めるとともに、現場を見る眼の養成を重視します。

主要な研究テーマ

リスクテイキング・違反の発生メカニズム研究

人は危ないと知りながら、また規則に違反していると知りながら敢えて危険をおかし、その結果事故やエラーに至ることがあります。このようなリスクをおかす行動(リスクテイキング)や規則違反のメカニズムをリスク、コスト、ベネフィットなどの心理的要因に注目し、実験・調査等を通して明らかにしています。

事故防止のための安全教育プログラムの開発

「自分の普段の行動は大丈夫だろうか?」と自身の行為を振り返り、不十分な点に気が付くことが事故防止の第一歩となります。また、過去に起こった事故・災害事例を対岸の火事とせず、他山の石とすることも大切でしょう。本分野では、社会人院生を中心に様々な領域での安全教育プログラムの試作・実施・効果評価を進めています。

子どもの事故防止に関する研究および啓発活動

残念ながら今も、子どもの事故は毎日のように発生しており、年間約300人以上の子どもが、不慮の事故(交通事故以外も多い)で命を落としています。子どもを守るのは家庭と学校だと考え、以下のような研究および啓発活動に取り組んでいます。

保有機材

本分野では様々な専門的機材を用いて、安全行動の基盤となる人のこころの様相を研究しています。